地方自治観察日記

都政新報の気になる記事の要約とコメント

2014年12月19日付都政新報

来春の統一地方選 47区市町村で1056人公認 各党の候補者選び進む(2面)

統一地方選の日程:道府県と政令市の首長、議員選挙が4月12日。それ以外の区市町村の首長、議員選挙が4月26日。

都知事選も都議会議員選挙も統一地方選では行われないので、東京都の基礎的自治体の職員にとっての正念場は4月26日ということになりそうだ。

「告示日は19日、投票日は26日だが、開票は各区市町村選管の判断によって翌日開票もある見通し」。

これいつも見るたびに羨ましい。有権者的には早く結果を知りたいのだろうけれど、早朝から夜10時までぶっ通しで働くのはなかなかつらいものがあるので。

検証 首都直下③初動態勢 シナリオ通りには進まない

阪神・淡路大震災で事務を執り行った公務員について詳しく紹介されており興味深い連載。係長の役割が意外に大きい。以下メモ。

5時46分 地震発生

6時40分ごろ 兵庫県知事が県庁へ、神戸市長が市役所へそれぞれ登庁

6時45分ごろ 県の防災係長だったN氏、県庁に到着

8時10分 自衛隊から県の防災係長に電話。情報交換。

9時半 神戸市長が部下に自衛隊の派遣要請をしてほしいと県に伝えるよう指示

10時 県が自衛隊災害派遣を要請(法的には自衛隊法に基づく災害派遣要請は知事の役割だが、実務的にはN防災係長が電話で要請している。当時の兵庫県知事は「知事が自衛隊に派遣要請をするのは、非常に事務的な話だ」と語る。知事は部下から派遣要請の報告を受けるが、何らかの政治判断を下すわけではない。)

それでも、と記事は続く。現場の係長が要請をするにもかかわらず地震発生から自衛隊の派遣要請までに時間がかかったのは被害状況が把握できなかったからである。

希望のある学校教育に向けて ユネスコスクール大会でESD大賞(3面)

ESD大賞中学校賞に多摩市立東愛宕中学校が選ばれたとのことで、当該中学校の校長先生の寄稿記事。

「生徒が国際連合大学で持続可能な社会について平和をテーマに意見発表を行ったり、ユニクロの『届けよう服のチカラプロジェクト』に参加して難民支援を行ったり、実際に多摩市議会一般質問を傍聴したり」

す、すごい

国士舘大学との連携によりデンマーク体操ナショナルチームの選手たちと一緒に汗を流したり、給食を一緒に食べてデンマークの文化について学んだり、英語で会話を楽しんだり」

す、すごい

とはいえ、初めから先進的な取り組みをしていたわけではなく、「(ユネスコスクール登録)当初はグリーンカーテン作りや地域の落ち葉掃き、伝統行事に参加することなどから取り組みを行ってきた。当時は学校が激しく荒れた頃でもあり、奉仕活動としての位置付けに過ぎなかった。」とのこと。地味な取り組みが実を結んだ良い例。

子ども・子育て支援制度 こども園、都が時限で補助へ 国の不備、地方に押し付け(4面)

私立幼稚園から認定こども園に移行する場合、私学助成が受けられなくなるかわりに、教育・保育に要する費用を勘案して国が算定した公定価格に移る。記事によるとこの公定価格の算定が規模の大きな園に不利になるような制度設計となっており、都は補助金を予算計上したとのこと。

「移行が原則とされている認定こども園、特に私立幼稚園を母体とする園」「私立幼稚園を母体とする認定こども園のうち、約4割が認定を返上して幼稚園になると回答し、私学助成が受けられる私立幼稚園に戻りたい意向を示している」「幼稚園は現行制度下に残ることも認められた」→記事を読んでいるだけで混乱する。

市民主体のNPOで施設を運営

NPO法人市民の図書館・公民館こがねい理事長の紹介記事。図書館をNPO法人が運営する形態も全国的には珍しいが、この理事長(昼間氏)の経歴も面白い。

小平市で新設の地区図書館開館を機に事務職として現場を経験することになり、中央図書館を含めて7年在席。その頃から近隣自治体職員との政策研究グループにも加わり、成果を著した『自治体の先端行政』(松下圭一編、学陽書房)に「公共図書館の今日的再生」を執筆。」

小平市で基本計画と基本構想策定に続けて関わり、最近、増田寛也氏の『地方消滅』に興味を持った。「当時は人口減を見据えた計画はなかった。人口減の中で計画作りをどうしていくか。多摩地域の動きに期待したい。」

「母校の早大社会科学部と法政大大学院で非常勤講師として、総合計画・市民参加や公立図書館論を担当し、次代の育成も見据える。」

なお、執筆した論文については「図書館界から批判を浴びた」とある。それについての本人のコメントからは論旨や批判の内容がよく分からないので、今度現物を取り寄せてみようと思う。

分限免職処分取り消し「初任者研修が不十分」東京地裁(4面)

都立学校に新任教員として採用された30代の男性vs.東京都教育委員会。校長の不当な評価で免職処分を受けたとして処分の取り消しを求める訴訟なんだそう。東京地裁の判決は「任命権者の判断は客観性を欠き、裁量権の逸脱・濫用がある」として男性の請求を認めたとのこと。

協調性を欠き、教員として適格性を疑わせる行為

  • 提出物の遅れや打ち合わせへの遅刻・欠席
  • 授業内容の確認テストで0点を取った生徒の答案に『ある意味Great!』と記載

があるが、「年度途中で男性を担当していた指導教諭を解任し、後任を選ばなかった」ことから、「指導体制における基本的な点が欠如していた」「仮に同校以外で初任者研修を受けていれば、成長を遂げ、免職されることはなかった可能性は考えられる」との判断(12月8日付け)。

これ、正式任用前のいわゆる試用期間中のトラブルだと思うのだけれど、都側に厳しい判断。一般事務職であれば異動により実質的な転職をさせるという手があるのだけれど、教員(専門職)だとそうもいかないから問題部下を抱えた場合の対処というのは本当に厄介なのだろうと推測される。

10代が夜の図書館を探検 荒川区立南千住図書館

ティーンズ向けのイベント紹介。10代の若者もスタッフとして参加しているらしい。「図書館閉館後には、謎を解きながら図書館を脱出する『夜の図書館を脱出せよ!!』を開催した。参加した約30人の小学校高学年から高校生の10代たちは懐中電灯の明かりを頼りに館内を探検。検索端末を操作してヒントを探し、書架に置かれた文字をつなげて手掛かりにして様々な本に出会い、図書館の使い方を体感していた。」

手の込んだイベント。準備に相当な時間がかかっているはず。また、利用者からスタッフを募るというのも市民参画手法として面白い試みだと思う。